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PFAS、普天間下流で指針の90倍 米軍基地消火施設に近接 沖縄県調査


PFAS、普天間下流で指針の90倍 米軍基地消火施設に近接 沖縄県調査 米軍基地のフェンス(資料)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米軍普天間飛行場の周辺で高濃度の有機フッ素化合物(PFAS)が検出されている問題で、沖縄県が実施した2023年度の水質モニタリングの調査地点1カ所から、発がん性が指摘されているPFOSとPFOAが1リットル当たり合計4500ナノグラム(ナノは10億分の1)が検出された。国の暫定指針値(PFOSとPFOA合計1リットル当たり50ナノグラム)の90倍。この地点は、同飛行場の下流側に位置している。4月に公表された専門家会議の報告書で明らかになった。

 県は汚染源の特定に向けて本年度も調査地点を追加してモニタリングする。基地周辺のPFAS汚染をめぐり県は、汚染源が米軍基地である蓋然(がいぜん)性が高いとして、基地内への立ち入り調査や米軍による原因究明や対策の実施を求めてきた。

 在日米軍が水道水の汚染低減を根拠に基地内調査を拒否したことが11日までに明らかになっている。これを受け県は13日、環境省に照会したが「日米合同委員会で協議中の内容は回答できない」と答えたとしている。

 4500ナノグラムが検出された地点は、基地内にある消火訓練施設の下流側に位置する。PFOSとPFOAのほか、PFHxSなども高濃度で検出されPFAS4種は合わせて6300ナノグラムとなった。

 調査では、汚染源特定のために設置した観測井戸からの採水したほか、各地の水質モニタリング地点のPFAS濃度の変化などから地下水の流れをシミュレーションした。

 県は高濃度で検出された要因として、普天間飛行場内で地表面から琉球石灰岩の地下に浸透したPFASが地下水と共に飛行場の下流側に流れ、石灰岩に残留したとみている。PFOSやPFOAを含む泡消火剤は21年10月までに処分されたとするが、PFASは地盤中に残留している可能性がある。飛行場の上流側にある調査地点では国の指針値を超える値は検出されなかった。

 (慶田城七瀬)