有料

なぜこんなに高い? 沖縄の介護保険料 キーワードは「共働き」「介護度の高さ」


なぜこんなに高い? 沖縄の介護保険料 キーワードは「共働き」「介護度の高さ」 イメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 65歳以上の高齢者が本年度から支払う介護保険料の全国平均が本年度から月額6225円となり、2000年度に制度が始まった当初(2911円)の2・1倍となった。保険料が大阪府に次いで全国で2番目に高い沖縄県では、高齢者の負担が一層深刻となる。保険料の抑制に向けた制度改革の議論が加速しそうだ。

 介護職員の賃上げを行うためサービスの公定価格「介護報酬」を24年度に増額改定したことも保険料アップに影響した。介護が必要な高齢者は24年度に705万人、40年度に843万人に上ると推計されている。

 25年には団塊の世代が全員75歳以上となり、40年度には高齢者人口がほぼピークを迎え、介護サービス需要は急増する見通し。武見敬三厚労相は14日の記者会見で「介護保険制度が全世代にとって安心なものとなるよう健康寿命の延伸や負担の在り方の検討を進めたい」と述べた。

 月額保険料は725カ所で6千円を上回り、うち85カ所は7千円を超えた。最高は大阪市の9249円で、1人暮らしの高齢者が増加しサービス利用が増えたことが要因という。

 沖縄県の保険料が高い背景として、県高齢者介護課は、介護度の高い高齢者が他県に比べて多い傾向を挙げる。介護予防や重症化を防ぐ取り組みに力を入れる方針だ。

 社会福祉が専門の島村聡沖縄大教授は「保険料が上がった理由の分析が重要」と話す。介護の人材不足が深刻で、担い手の確保に賃上げは不可欠だ。「施設への依存度が高いのが沖縄の特徴。経済的な事情で共働きが多く、家で介護する余裕がないことも背景にある」と指摘する。

 県社会保障推進協議会の髙崎大史事務局長は「きちんとサービスをすれば、保険料が高くなってしまうという制度の矛盾が露呈している。抜本的な改革をしないと、利用者も、介護をする家族も、自治体も報われない」と批判する。

(宮沢之祐)