「困窮で治療遅れ、死亡」沖縄で2件 無保険や受診ためらい 23年、県民医連が発表


「困窮で治療遅れ、死亡」沖縄で2件 無保険や受診ためらい 23年、県民医連が発表 記者会見で死亡事例について説明する民医連の名嘉共道事務局長ら=10日午後、県庁
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 県民主医療機関連合会(民医連)などは10日、経済的な理由で治療が手遅れになり、死亡したとみられる事例が2023年、全国で48件あり、うち2件を県内で確認したと発表した。

 全国民医連が毎年、加盟する病院など700の事業所を対象に調査している。国民保険料が払えず無保険だったり、困窮で受診をためらったりして死亡したとみられる事例をまとめた。

 県内での2例は、いずれも沖縄協同病院に救急搬送された。50代の男性は、認知症の母と2人暮らしで健康保険に未加入。生活保護も受けていなかった。呼吸が苦しかったが、受診せず、呼吸不全の悪化で死亡した。

 70代の女性は実家で兄、妹と同居。兄の老齢年金などで生活していたが、介護保険料や光熱費、家賃などを滞納していた。壊死(えし)性筋膜炎で入院翌日に亡くなった。

 県庁で会見した県民医連の名嘉共道事務局長は「国保料が高く、無保険状態になっていることが背景にある」と批判。この日、国保料引き下げなどを求める玉城デニー知事宛ての要望書を、4949人分の署名とともに提出した。(宮沢之祐)