【宮古島】宮古島市内で外来種のインドクジャクが野生化し、在来種や希少種の動物、農作物を食している問題で、10月25日、これまで生息が確認されていなかった池間島で雌のクジャク1羽が捕獲された。これから繁殖期を迎えるクジャクが池間島で見つかったことに、関係者は「早く手を打たないと、クジャクが池間島で繁殖したら、生態系に大きな打撃を与える」と危機感を募らせる。
市は宮古島、池間島、来間島、伊良部島、下地島、大神島の大小六つの島で構成されており、これまで宮古島とそれぞれ橋でつながっている池間島と来間島ではクジャクは確認されていなかった。
■目撃情報
県猟友会宮古支部のメンバーによると、2年ほど前から「池間大橋の池間島側にクジャクがいた」などの目撃情報が入っていた。しかし、短い距離しか飛ぶことができない飛行能力を考えると、クジャクが池間島にたどり着くことに懐疑的な見方も強かったという。
ことし8月19日、池間島の畑近くで地元住民がスマートフォンで撮影した写真には雄と思われるクジャクの姿が捉えられていた。クジャクの池間島到達。恐れていた情報が現実として突きつけられた。
■雌の捕獲
国指定鳥獣保護区である池間島で捕獲に乗り出すため、宮古支部のメンバーは市を通じて九州地方環境事務所に捕獲申請を出し、9月末に許可が下りた。
10月16日には、宮古支部のメンバーが、8月にクジャクが撮影された現場付近で雌のクジャクを目撃した。同25日にはメンバーの50代男性が同じ場所付近で雌を捕獲した。男性は「近くにパパイヤの木などがあったので、それを食べに来たかもしれない」と推測する。
■悪食
市内の複数の教育施設などで飼育されていた個体が、台風で飼育小屋が壊れて逃げ出すなどして野生化したことで、市内各地で生息する事態に至った。
クジャクは毒ヘビや毒虫、農作物など口に入る物は何でも食べることから、悪食として知られている。生態系に与える影響も大きく、市内では希少種のミヤコカナヘビや市の保全種に指定されているミヤコカンショコガネなどを捕食している。
クジャクは12月~6月が繁殖期。この時期には主に雄が「ミャー、ミャー」と特徴的な鳴き声を出す。一度の産卵で5個程度の卵を産むとされる。
宮古支部のメンバーは「定着すると数を増やすのは早い。鳴き声が聞こえる繁殖期に居場所を特定して集中的に捕獲に取り組むなど、対策が必要だ」と訴える。捕獲された個体以外に、池間島にどの程度のクジャクがいるのか、明確には分かっていない。国の鳥獣保護区で希少生物も生息する池間島の生態系を守るために、気の抜けない戦いが続く。
(友寄開)