県が2025年度から中学生の給食費を市町村と折半する形で無償化する方針を示したことに、県内自治体からは新たな財政負担を懸念する声や事前の相談もなく発表した玉城デニー知事への批判が相次いだ。一方、無償化自体に反対の声はなく、PTA関係者からは歓迎の声や小学校への拡充を求める声が出た。
県市長会長を務める桑江朝千夫沖縄市長は「4月の沖縄振興拡大会議で、水道料金の値上げで給食費の無償化が難しくなるという話もしたが、県から何の反応もなかった。事前に説明などもなく、市町村の負担を考えていない制度だ」と批判。「予算上、市としてすぐ無償化はできない。無償化していない市町村にも半額補助などをすれば、その分家庭の給食費の負担も減らせるのに」と疑問を呈した。
沖縄市では4月から小中学校の給食費について保護者負担が400円増え、保護者から半額補助を求める陳情書が議会に提出されている。
県首長有志の会の会長として、県議会自民、公明党会派に市町村に財政負担を求めない形での給食費無償化を要請していた松本哲治浦添市長は「事前の相談もなく、発表することで、受ける自治体と受けない自治体との分断を招きかねない」と反発する。「市町村への踏み絵だ。できないとなると『お宅の市町村ができないって言っているからできない』と、責任転嫁される」と憤った。
浦添市は現在、国からの交付金を活用し、4月から7月まで、小中学校の給食費無償化を実施している。担当者によると、市内中学生の給食費を半額負担する場合、概算で約9300万円の予算が見込まれる。
22年度から小中学校の給食費無償化を実施している国頭村の知花靖村長は「(県の方針を)歓迎はするが、小学校まで拡大してほしい。県がもっと広げてもらえたら、その分を別の子育て支援へ活用できる」と話し、さらなる拡充に期待した。
県PTA連合会の岸本洋平会長は「喜ばしい話だ。無償化は市町村によって有無があったので、少しでもその解消につながればいいと思う」と語った。
(吉田健一、福田修平、藤村謙吾、外間愛也、古堅一樹)