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朗読劇で人柄迫る 「外岡秀俊の世界」 沖縄取材し25年


朗読劇で人柄迫る 「外岡秀俊の世界」 沖縄取材し25年 音楽朗読劇のリハーサルをする井料瑠美さん(左)と阿部よしつぐさん(撮影:松下希未)
この記事を書いた人 Avatar photo 当銘 千絵

 沖縄の基地問題を四半世紀にわたり取材した作家でジャーナリストの故外岡秀俊さん(享年68)の半生を振り返ると共に、正義感と優しさに満ちた人物像に迫る音楽朗読劇とコンサート「外岡秀俊の世界」が6月8日、那覇市文化芸術劇場なはーとで開かれる。午後1時、同5時の2回公演。主催は外岡秀俊追悼公演開催有志の会(城田英雄代表)。

 外岡さんは東京大在学中に「北帰行」で文芸賞を受賞。卒業後、朝日新聞社に入り、学芸部、社会部を経て外報部の国際記者として国内外で活躍した。論説委員時代には沖縄米軍基地問題の取材班キャップを担当。大田昌秀知事(当時)の戦争体験や、代理署名拒否の決断に至る背景や思いなどを深掘りし、広く報じた。以降、沖縄を取り巻く不条理や、戦後の過重な基地負担について継続的に取材した。

外岡秀俊さん
外岡秀俊さん

 元記者仲間で、長年の友人だった城田代表は外岡さんの人柄について「控えめな性格だが、内に秘めた情熱はすさまじかった。一言で表すとやさしさの人だった」とし、常に弱者の目線に立ち、民主主義と平和の実現を希求するジャーナリストだったと振り返る。生前、外岡さんが沖縄に強い思いを寄せていたことから沖縄で朗読劇を開催することにこだわったという。

 第1部の音楽朗読劇「うるまの島々から北の大地へ、そして」には、劇団四季でメーンキャストを張っていた井料瑠美さんと阿部よしつぐさんが出演。脚本は放送作家のさらだたまこさん、音楽は「ちゅらさん」や「古畑任三郎」などの楽曲を手がけた丸山和範さんが担当する。

 第2部の「平和を祈る歌声コンサート」では、つしま丸児童合唱団による合唱「対馬丸学童疎開悲劇の追悼」のほか、石垣島の山里節子さんによる「外岡さまに捧げるトゥバリャーマ(即興民謡)」、ウクライナ出身のカテリーナさんによる民族音楽バンドゥーラの演奏が披露される。

 城田代表は、つしま丸児童合唱団の保護者会や明治大学校友会沖縄支部をはじめとする地元住民の支援があってこそイベントが実現できたと謝意を述べ、「沖縄のために尽力した外岡さんのことを沖縄の人々に知ってもらう機会になれば」と訴えた。入場は3500円。チケットの申し込み・問い合わせは城田さん ivent-1025@memoad.jp

 (当銘千絵)