名護市辺野古の新基地建設工事の埋め立てを巡る国土交通相の裁決取り消しを求めた抗告訴訟で、被告の国が、市民4人の原告適格を認めた福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)の判決を不服として最高裁に上告したことを受け、訴訟の弁護団と「住民の訴訟原告団」(東恩納琢磨団長)が30日、那覇市泉崎の県庁で会見し、「国の姿勢は恥ずべきものだ」として国の上告に抗議する声明を発表した。
声明では、「国は一貫して、原告適格という入り口論のみに拘泥し、実質審理を避けようとしてきた」と指摘。辺野古工事に関する住民による訴訟で初めて住民の原告適格を認めた控訴審判決を「極めて当たり前で真っ当な判断が理路整然と示された」と評価した。その上で、国が上告受理を最高裁に申し立てたことを「あくまでも入り口論で『門前払い』を求めようとする国の姿勢は恥ずべきものだ」と批判した。
東恩納団長は、会見で国の上告判断について「怒りを通り越してあきれる」と糾弾した。
2019年の訴訟提起から控訴審で原告適格が認められるまでに5年かかり、上告でさらなる長期化が見込まれることに、「この間も工事は進んでいく。それが分かっていながら上告するということは、国の悪質な犯罪というしかない」と語気を強めた。