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「転生」は身近に起きている現象 島田雅彦さん、首里高と浦添商高で講演 沖縄


「転生」は身近に起きている現象 島田雅彦さん、首里高と浦添商高で講演 沖縄 文化の強みなどについて語る作家の島田雅彦さん=6日、那覇市の首里高校
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 「高校生のための文化講演会」(主催・一ツ橋文芸教育振興会、琉球新報社)が6日、那覇市の首里高校と浦添市の浦添商業高校で開かれた。作家の島田雅彦さんが「文化で勝つ」と題して、災害や人工知能(AI)の進化などあらゆる場面での文化の強みについて語った。

 大規模な災害の発生で都市部の機能が止まった際に、図書館を守ることが生き延びる助けになるという考え方を語った。人々が自給自足の生活に直面した時に、水のろ過や発電などのノウハウが本に書かれているとして「知識やその仕入れ方を知っている人は生き残りやすい」と話した。

 フィクション作品でよく扱われる「転生」についても触れ、身近に起きている現象と説明。例えば、病気やけがで今までの生活ができなくなることは違う自分を宿らせる転生であるとし「思春期も、今までと違う意識が宿る。私たちは生涯のうちに、こまめに自分をリニューアルしながら生きている」と話した。

 首里高普通科3年の比嘉千晴さん(17)は「自分たちが大人になって社会を生きていく上で、教養や知識が大切だと感じた」と語った。

 講演後、一ツ橋文芸教育振興会から集英社文庫100冊と島田さんの著書が各校に贈呈された。 

(中村優希)