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玉城デニー知事の平和宣言に参列者ら共感 首相あいさつは「形だけ」 沖縄「慰霊の日」


玉城デニー知事の平和宣言に参列者ら共感 首相あいさつは「形だけ」 沖縄「慰霊の日」 正午に黙とうする参列者ら=23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園(喜瀨守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄全戦没者追悼式で平和宣言を読み上げた玉城デニー知事は、自衛隊の急激な配備拡張に県民が強い不安感を抱いているとして、「今の沖縄の現状は、無念の思いを残して犠牲になられた御霊(みたま)を慰めることになっているのでしょうか」と問いかけた。参列者からは「沖縄の人の心を訴えている」などと共感する声が聞かれた。岸田文雄首相は昨年と同様に「(米軍基地等の)負担の軽減に全力を尽くす」とあいさつした。

 玉城知事が宣言を終えると大きな拍手が響いた。与那原町の男性(73)は「宮古や八重山の今の状況を見ると怖い。戦争に沖縄を巻き込むような感じになっている」と宣言に共感した。那覇市の男性(39)は長引く基地問題に触れ、「政府とのみぞを解消して少しでも解決に進むようにしてほしい」と求めた。

 岸田首相のあいさつを聞いて、式典途中で席を立った女性(81)=北谷町=は「イライラして出てきた。もうだめ」と足早に帰って行った。沖縄大学の男子学生(20)=那覇市=は「首相は平和を強調していたように聞こえたが、沖縄の基地負担は変わらず、南西諸島の軍事化も進んでいる。平和を訴える沖縄に政府は逆行している。形だけのあいさつに感じた」と話した。

 式典の後、おじとおばの名前がある平和の礎の前に立った那覇市の女性(75)は「(首相あいさつは)全然心に響かなかった。言っていることと、していることが違う」と手厳しかった。

(中村優希まとめ)