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「協定にのっとり捜査」沖縄県警、被告の身柄引き渡し求めず 米兵少女暴行事件 


「協定にのっとり捜査」沖縄県警、被告の身柄引き渡し求めず 米兵少女暴行事件  沖縄県警察本部(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米兵少女暴行事件で、県警は被告の米兵(25)の身柄引き渡しを求めず、米軍の捜査機関と連携して在宅捜査した。日米地位協定が容疑者の身柄の管理権を定めており、捜査幹部は「協定にのっとって捜査した」と話す。県警は引き渡しを求めなかったことについて「日米合同委員会で提起されることなので答えられない」として、理由を明らかにしていない。

 地位協定では、公務外で犯罪を行った米軍人・軍属の身柄が米軍基地内にある場合、日本側が起訴するまで、その身柄は米軍が拘束すると定めている。

 他方、1995年9月の米軍人による少女乱暴事件を背景に「殺人、強姦という凶悪な犯罪」については、起訴前の身柄引き渡しを提起できるように運用改善された。要請された米軍は「好意的な考慮」を払うとしている。これまでに6件の事件で要請が行われ、5件で引き渡しが行われた。このうち、県内で発生した事件は3件で、2件の引き渡しが実現した。

 外務省によると、身柄の引き渡しは捜査当局が要請するかどうかを判断し、その後、日米合同委員会で提起される。今回の場合は県警が判断する立場にあったが、捜査関係者によると、米軍に対して被告の米兵の引き渡しは求めていない。同省関係者は「捜査当局は所要の捜査に問題はないと判断したのだろう」と語った。

 過去には起訴前に容疑者が米国に逃亡したケースもあるが、捜査関係者は「必要な捜査ができるのであれば、引き渡しを求めるという話にはならない」と話す。県警によると、基地の外に自宅を持つ被告の米兵は、捜査時点では米軍により基地内で管理下に置かれ、数回にわたり出頭させて任意の捜査をしたという。その上で「米側と連携して捜査を進めた。捜査に支障はなかった」と説明している。