会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・普久原均琉球新報社長)の7月例会が10日、那覇市のオリオンホテル那覇で開かれた。講師は法学博士で信州大学特任教授の山口真由氏が務め「令和時代のコンプライアンス~世界の潮流、日本の現在地」をテーマに講演した。山口氏は「多様な価値観が世界的に広がっており、全ての人に居場所を残すような環境が大切だ」と提言。相手を信じ、分断はしない社会を求めた。
山口氏は世界のコンプライアンス(コンプラ)の状況の例として、企業の広告動画で大坂なおみ選手の肌が実際よりも白く、「本来の肌の色なら美しくないのか」と批判を受けた事例を挙げ、個人を個人として認識する多様性の広がりを指摘。世界市場でビジネスをするには、世界の潮流を知る必要があるとした。
コンプラ意識の高まりの背景に、あらゆる人を差別せず、不快感を与えないポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)の強まりを指摘。海外の事情にインターネットを通して触れる機会の多い日本の若者も同じ傾向にあるとした。
一方、正しいことを言わなければならないという考えの中、言いたいことが言えない人が出てきいるとも指摘。安心して意見を言い合える場所をつくることも大切だと強調した。
(狩俣悠喜)