フランス時間28日のパリ五輪女子サッカーブラジル戦で大逆転劇を見せた「なでしこジャパン」。母が那覇市出身で、小学校時代は夏休みに沖縄を訪れていたという長谷川唯選手(27)が先発出場し、攻守の要として躍動した。
最後の猛攻を仕掛けるブラジルのパスに長谷川がギアを上げ、ボールカットする。すぐに試合終了を告げる笛が鳴り、安堵(あんど)したように顔を上げた。「苦しい試合だった」。ブラジルがボールを支配し、先制点も取られた。「失点すると負ける試合が多かった。3、4年間の積み重ねをやっと出せた」
前半は敵陣の空間に走り込んでスルーパスを受けるなど、好機に絡んだ。相手守備を縫うように抜けてシュートするなど決定機を演出した。
後半35分。勝利の立役者、谷川萌々子選手が投入されると、長谷川選手は中盤のボランチからより高い右インサイドハーフに位置が変わった。積極的に前から圧力を仕掛け、逆転劇に欠かせない存在となった。池田太監督は「1点ビハインドだったので攻撃にシフトチェンジした。しっかり役割を果たしてくれた」とたたえた。
決勝点は長谷川選手のプレスで誘発した相手のパスミスから生まれた。長谷川選手は「みんなが諦めずに勝ちを狙って最後まで前から(圧を)掛けられたことはすごく大きい」と収穫を口にした。
沖縄については「小学生の時はずっと沖縄で夏休みに海に行っていた。海が一番好き。きれいな場所なので本当にリラックスできる」と語り、「本当にたくさんの人から応援してもらっている」と笑顔で感謝を述べた。
(古川 峻)