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本部半島で2地点9割サンゴ白化 高い海水温が影響 琉大チーム確認 沖縄


本部半島で2地点9割サンゴ白化 高い海水温が影響 琉大チーム確認 沖縄 高水温の影響で白化が進むサンゴ=5日、本島北部の本部半島(琉球大・中村崇氏提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 慶田城 七瀬

 本島北部の本部半島沿岸でサンゴの白化が広がっているのが確認された。5日に琉大の中村崇准教授(サンゴ礁生物生態生理学)ら研究チームが調査し確認した。白化は海水温の上昇などで起こるとされる。7月の沖縄周辺海域の海面水温が解析値のある1982年以降で過去最高を記録し、今後も台風接近などにより水温低下がなければ、さらに広範囲に広がる可能性もある。回復しなければサンゴは死滅し、生態系への影響も懸念される。

 中南部でも白化が進んでいる報告があり、研究チームは今後も調査を進める方針だ。

 海水温のピークは、8月下旬~9月上旬だが、ピーク以前に白化が進んでいることに、中村准教授は「ここまでひどい状態になっているのはデータがある中で記憶にない」と話した。

 中村准教授によると、調査地点は水深2~4メートルの浅瀬で、3地点のうち2地点で90%以上のサンゴの白化が見られた。ミドリイシ属を中心にテーブル状や枝状のサンゴ群体が一面で白化していたほか、一部のハマサンゴ属群体やキクメイシ科の塊状群体が白化している様子が散見された。

 調査時の海水温は2地点で30・2~3度、30・5~7度。潮の流れで水温が上がりにくいとされる地点でも29・7~9度となり、サンゴにとって「かなりストレスになるぎりぎりの温度」だったという。

 海水温の高い状態が長く続くと、サンゴの体内にすみ栄養を供給する褐虫藻(かっちゅうそう)が急激に減少し白化が起こる。

 白化したサンゴは、すぐに死ぬわけではなく、水温低下など条件が戻れば、2、3カ月かけて回復する。中村准教授は「サンゴが死ぬとサンゴにすむ生き物がすめなくなり、生態系のバランスが崩れる。水温がどうなるか分からないが、今後どのくらい回復できるかが大事だ。台風頼みだがここ1カ月がヤマだ」と話した。

 本島周辺で白化が深刻だったのは98年で、九州南部から琉球列島までの広い範囲で60%程度、2016、17年は30%程度だったという。 

(慶田城七瀬)