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広島県知事あいさつ、琉球大の上間教授の論考を引用「被爆者の痛み、自分に重ねる」 原爆の日の平和記念式典


広島県知事あいさつ、琉球大の上間教授の論考を引用「被爆者の痛み、自分に重ねる」 原爆の日の平和記念式典 平和記念式典であいさつする広島県の湯崎知事=6日、広島市(共同通信)
この記事を書いた人 Avatar photo 前森 智香子

 戦後79年を迎えた原爆の日の6日、広島市で開かれた平和記念式典のあいさつで、広島県の湯崎英彦知事が、6月に新聞に掲載された琉球大学の上間陽子教授の「論考2024」を引用した。湯崎知事は論考を紹介した上で「『過ちは繰り返しませぬから』という誓いを、今一度思い起こすべきではないか」と語った。

 上間教授の論考は、左手に大やけどを負った自身の体験を基に、放射線を浴びた人や戦争体験者などの深い痛みについて記述。「私たちの日常は、そこにある痛みを、すぐに忘却しようとする。だから時々、自分の左手に触れながら、あの日の私の痛みと誰かの痛みをそっと重ねて考える」などとし、慰霊の日に思いを寄せていた。

 湯崎知事はあいさつで「ある沖縄の研究者」として論考に触れ、「被爆者の痛みを、私たちは本当に自分の指のひどいやけどと重ね合わせることができているでしょうか。人類が核兵器の存在を漫然と黙認したまま、この痛みや苦しみを私たちに伝えようとしてきた被爆者を一人、また一人と失っていくことに、私は耐えられません」などと述べた。

 上間教授の論考は共同通信の配信で、各地の新聞に掲載されている。本紙は6月28日に掲載した。広島県によると、中国新聞に掲載された論考を読んだ湯崎知事が、引用を決めた。担当者は「あいさつは知事が考え、思いを反映したものだ」とした。

 上間教授によると、6月下旬に広島県側から、式典での知事あいさつで論考を引用したいとの連絡があった。上間教授は「広島と沖縄をつなぎたい」という思いがあり、広島県側には「『沖縄』という言葉を入れてほしい」と伝えたという。
 引用された論考について「それぞれの場所で起きている、それぞれの痛みを分断しないという趣旨で書いた」と説明。「意図をくみとり、正しく引用してもらった。各地の仕事が連なって、知事のメッセージが出された。現状に絶望してはいけないと感じた」と述べた。
 (前森智香子)

 ▶引用された「論考2024