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「沖縄の問題、自分事に」 修学旅行生らに情報発信 学生団体「スマイライフ」 活動18年、世代超え解決願う


「沖縄の問題、自分事に」 修学旅行生らに情報発信 学生団体「スマイライフ」 活動18年、世代超え解決願う 2004年に米軍ヘリが墜落した現場でサークル活動への思いを語る(左から)比嘉隆靖さん、真玉橋鈴奈さん、又吉愛莉さん=1日、宜野湾市の沖縄国際大学
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 人ごとのような感想を聞き傷ついたこともあった。「沖縄の問題でしょ」「自分たちに関係ないし」。それでも、話すことで理解や関心を示す生徒も多くいた。「沖縄のことを家族で話してみたい」。思いが伝わった時はうれしさを感じた。
 沖縄国際大の学生サークル「スマイライフ」。2004年のヘリ墜落を機に、事故を継承しつつ沖縄戦の歴史や沖縄の基地問題を発信することを目的に06年に結成した。県外からの修学旅行生に沖縄戦や基地問題を伝え、ともに議論することを主な活動にしている。
 代表で4年生の真玉橋鈴奈さん(22)は以前から基地問題に関心があったが、普段、友人や家族と話す機会がなかった。進学先を調べる中、沖国の社会文化学科で沖縄の歴史や文化を学べると知り、スマイライフの存在も知った。
 学ぶ中で知った。沖縄戦と戦後も続く基地問題の延長線上に沖国大ヘリ墜落事故があった。「基地があるのは当たり前なのか。なぜ事故が起こるのか。基地がなくならないのはなぜなのか。解決は簡単ではないが、考え続けることが大事だ」。修学旅行生らに話す時も、ともに考える姿勢で臨んでいる。
 3年生の比嘉隆靖さん(21)は平和学習が苦手だった。「集団自決(強制集団死)の写真を見て、戦争体験者の苦しみを聞き、トラウマ(心的外傷)になった」。積極的に学ぶ気になれなかった。大学の授業やサークルで学び、同級生や先輩が真剣に沖縄の問題を話し合う姿に刺激を受け、意識が変わった。「まずは自分が知り、周りの人たちが考えるきっかけをつくりたい」と思い始めた。
 中高生に話す際は、基地が雇用の受け皿になっている側面や、土地代で生活する人がいることも伝える。「いかに自分事として考えてもらうかを意識している」と語る。
 4年生の又吉愛莉さん(21)は、基地問題を沖縄だけの問題と捉える県外の生徒がいることが引っかかる。修学旅行生の地元で過去に起きた事件事故を調べ「君たちの県でも過去に墜落事故があったことを知っている?」などと聞いている。「沖縄で議論したことを自分の地域の課題を考えるきっかけにしてほしい」。将来、平和教育に携わる仕事に就くわけではない。それでも、沖縄のことを考え、学ぶ姿勢は持ち続けたいと考えている。
 サークルは約18年、世代を超えて活動してきた。3人は「後輩たちに活動をつないでいってほしい」と思いを語る。小さな積み重ねが、いつか沖縄の問題を解決することにつながると信じて。 (外間愛也)
  (おわり)