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市民は「一歩前進」と評価 育鵬社不採択に安堵 審議の非公開は「課題」 石垣・与那国の中学公民教科書


市民は「一歩前進」と評価 育鵬社不採択に安堵 審議の非公開は「課題」 石垣・与那国の中学公民教科書
この記事を書いた人 Avatar photo 照屋 大哲

 【石垣】石垣市と与那国町の教育委員会が15日、教科用図書八重山採択地区協議会の答申通り、2025年度からの中学公民に、日本文教出版(日文)の教科書を採択した。これまで4度採択してきた保守色が強いと指摘される育鵬社版ではない決定に、市民からは「一歩前進」と評価する声がある一方、採択地区協議会の審議過程が依然非公開であることに対し「不透明さは課題だ」と指摘する声もある。

 採択地区協議会事務局(石垣市教委学校教育課)は日文の選定理由について、各単元に記載されているQRコードから各種資料に展開しデジタルを活用して学べること、視覚的な見やすさ、文章のわかりやすさなどを挙げた。新型コロナ禍で全国的に導入された児童生徒1人に端末1台を整備する文科省のGIGAスクール構想を背景に、日文のデジタル面での適正を評価したという。

 採択地区協議会会長の﨑山晃市教育長は「日文は領土問題などがわかりやすく、憲法9条でも世論の変化を載せている。見え方、考え方、確認、振り返りなど子どもたちにとって使いやすい教科書だ」と評価した。

 採択地区協議会に審議過程が不透明だとして、公開を求める要請をしてきた「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」。宮良純一郎会長は育鵬社版の公民教科書が使われなくなることに「安堵(あんど)している」。10年余り学校現場で使用されてきていることについて「反省・総括が必要だ」と訴えた。 

(照屋大哲)