石垣市と与那国町の中学公民教科書で、保守色の強い育鵬社ではなく日本文教出版の教科書が採択された。個人的な感想としては良かったと思うが、重要なのはどのような過程で選ばれたかだ。
八重山地域の教科書問題の根底は、現場の教員らが調査し評価した結果が、教科書採択に適切に反映されてきたかという点にあった。特定の勢力の利害に基づき、教科書採択のあり方がゆがめられることが問題であり、この問題が解消された結果であるならば評価できることだと考える。
日本文教出版の教科書が選ばれたのがたまたまなのか、教員らの調査が反映された結果なのかは丁寧に見ていく必要がある。今回の採択は何が決め手になったのかなどを総括し、次回以降の採択に生かしていくことが大切だ。
そのためにも今後、今回の採択のプロセスがどのような形で進められたのかを検証していくことは必要だろう。また採択過程が非公開とされている点について、透明性を大事にし、市民に開かれた採択にしていくことも求められる。
教科書検定では歴史を歪曲(わいきょく)し、明らかな誤りが載っている教科書でも、文科省のお墨付きを与えられるような状況がある。一般市民も含め、多くの人が教科書検定から採択までの流れに関心を持ち、注目をしてほしい
(社会科教育学、談)