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<記者コラム>箏弾くように記事を書く 中村優希(暮らし報道グループ)


<記者コラム>箏弾くように記事を書く 中村優希(暮らし報道グループ)
この記事を書いた人 Avatar photo 中村 優希

 記者ですが、学生です。琉球芸能を究めるべく、2022年度から県立芸術大学の大学院に通っており、現在最終年度を迎えている。院に行きたいと上司に相談したのは、出願を終えてから。順番が逆なのは承知しているが、いのしし年生まれの私は、こうと決めたら猪突猛進してしまう自覚がある。もしだめだと言われたら仕事を辞めて通おうと考えたが、思いの外応援してくれ、退職を免れた。感謝しかない。

 専門は琉球箏曲。仕事が終わればペンを持っていた右手に爪をはめて箏を弾いている。独奏楽器として演奏機会が多い日本本土の箏と違い、主に歌三線の伴奏楽器として発展してきた琉球箏曲。歌三線を生かすも殺すも箏の弾き方ひとつで変わってしまう難しさがある。しかしそこが楽しい。

 取材も箏を弾くことと似ているのかもしれない。取材相手の話の切り取り方や書き方で読み手の印象も変わる。最近、ウクライナ難民の子どもを受け入れていた託児所が資金難で閉所するという報告会見を取材した。運営の男性が、支援者に感謝を述べる姿が印象的だった。他紙では男性が述べた感謝の言葉を最初に書き、見出しにも取っていた。一方私は、閉所の経緯などを書いた後、最後に男性のコメントを付けた。見出しも「難民託児所、来月末閉所」などにとどまった。淡々としすぎたのではと反省した。

 演奏技術も執筆技術もまだまだ研鑽が必要だ。