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なぜ? 沖縄本島中部にアメリカオオセグロカモメ 北米生息の鳥、国内で初確認


なぜ? 沖縄本島中部にアメリカオオセグロカモメ 北米生息の鳥、国内で初確認 アメリカオオセグロカモメ=7日、沖縄市の泡瀬干潟(周戸大季さん提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 名嘉 一心

 北米に生息するアメリカオオセグロカモメが8月15日、沖縄本島中部で確認された。国内で初めての確認記録となる。沖縄環境保全研究所の渡嘉敷真司さん(44)=那覇市=らが勝連半島の南岸で確認し、その後の調査でアメリカオオセグロカモメであることが分かった。今回確認されたのは幼鳥で体長は62~66センチほどになり、風切り羽の一部が暗褐色なのが特徴という。

 渡嘉敷さんらが確認した当初、別種のセグロカモメと同定していたが、琉球大学でシギやチドリの食性を研究している周戸大季博士研究員(27)が9月4日、沖縄市の泡瀬干潟で同一個体が餌を探す姿を確認した。

 「決定版日本のカモメ識別図鑑」著者の氏原道昭さん(52)に照会したところ、アメリカオオセグロカモメだったことが分かった。氏原さんは本紙の取材に「カモメの中には本来の分布も外れて放浪する個体もいる」と話し、「迷って飛来したのではないか」と指摘した。

 アメリカオオセグロカモメは北米大陸の太平洋沿岸部に生息する。同沿岸部の南北にかけて渡りを行い、太平洋を渡ることはまれだという。国内で記録された鳥類を列挙する日本鳥学会の「日本鳥類目録」にも未掲載で、周戸さんは「驚きとともに、改めて泡瀬干潟の豊かさを感じている。さまざまな生き物が生息する干潟の自然環境の保全につながればと思う」と語った。今後、沖縄への飛来について学術的にまとめる方針だという。

 (名嘉一心)