「第2子を出産した時に、お世話になった助産師さんに会いたい」。宜野湾市の大城真美さん(47)が9月27日、那覇市の大田悦子さん(66)と再会し、17年越しの願いを果たした。大城さん自身もその時の経験がきっかけで、現在はうえむら病院(中城村)で助産師として活躍する。
城さんは「大田さんのケアや声掛けで出産がすんなりいった。安心感を与える大田さんのサポートが、私の目標とする助産師像になりました」と憧れの人に感謝を伝えた。
大城さんは大田さんを探していたが見つからず、本紙に依頼。2人が出会った伊波レディースクリニック(那覇市)に本紙が協力を求めたところ、連絡がつながった。
大城さんは2007年7月に次男を出産。その時に担当したのが大田さんだった。陣痛が始まれば腰をマッサージして痛みを和らげ、母子の状況を説明してくれた。第1子の時は陣痛促進剤の痛みでパニックになったが「今の状況が分かるから安心できたし、頑張れた。『ここに神様がいる』と思うほど大違いだった」と振り返る。
離婚を経て福岡から沖縄に戻り、事務職で子どもを育てた。子育てが一段落した39歳の時、胸に秘めていた助産師の夢をかなえようと一念発起。県立看護大学に入学し、コロナ禍の中、44歳で看護師と保健師の資格も合わせて取得した。
大田さんは助産師を「天職」だと感じ、これまでおよそ1700人の出産に立ち合った大ベテラン。「近所のお母さんから、出産に立ち合った子どもの近況報告を受ける」という大田さんを見て育った娘2人も、助産師となった。現在は仕事から離れ、孫の世話をし娘のサポートに回っている。
仕事上のつらさを乗り越える方法を問われ、大田さんは「つらさは消えない。だけど次が控えているから頑張るしかない」と伝える。「それでも笑顔のあふれる(医療)現場はなかなかないよね」と大城さんに笑いかけた。
2人は時を忘れて助産師談義に花を咲かせ、これからも連絡を取り合うことを約束した。
(玉城文)