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子育て「2人目の壁」なくしたい「後押しする気持ちで投票へ」 物価高、教育費、復職…尽きない不安<衆院選・争点の現場から>2


子育て「2人目の壁」なくしたい「後押しする気持ちで投票へ」 物価高、教育費、復職…尽きない不安<衆院選・争点の現場から>2 長女の手を握る女性。第2子の妊娠を望むも、経済的な不安を口にした=10月、那覇市
この記事を書いた人 Avatar photo 嶋岡 すみれ

 「2人目、ほしいではあるんですけどね…」

 那覇市に住む女性(31)はもどかしい思いを口にした。長女(4)と3歳差ほどで第2子を産みたいと思っていた。約2年前から夫(28)と妊娠に踏み切るタイミングを何度も話し合っている。だが、経済的な不安がぬぐえない。話し合いは平行線のままだ。

 パートで保育補助として働く女性と、会社員の夫の手取りは合わせて約30万円。物価高騰の影響もあり、どんなに出費を切り詰めても生活費で給料は消える。貯金をする余裕はない。

 子どもが生まれると、粉ミルクや紙おむつなどの出費が増える一方で、産休・育休中や時短勤務の場合は収入が減る。保育施設に入園できなければ仕事復帰ができず、より生活が苦しくなる可能性もある。将来の教育費も気にかかる。

 今の状態で、もう1人子どもを育てていけるのだろうか―。次々に浮かぶ不安が、女性の第2子を望む気持ちにブレーキをかける。

 国内の出生数の減少に歯止めがかからない。厚生労働省が発表した人口動態統計(概数)によると、2023年の出生数は約72万7千人で、過去最少を更新した。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は1・20となり、データのある1947年以降の最低を更新。いずれも8年連続のマイナスとなった。

 国は「異次元の少子化対策」を打ち出し、児童手当の拡充などを実施してきた。27日投開票の衆院選でも、教育費の無償化など、子育て支援や少子化対策を公約に掲げる立候補者は多い。

 女性は子育てをする中で、妊産婦の支援事業や子育て世帯を対象にした給付金などの影響を実感し、生活と政治は密接に結びついていると感じたという。

 これからの子育て支援については「子どもの人数にかかわらずに児童手当を増額したり、継続して粉ミルクや紙おむつを現物給付したりするような、ダイレクトに効果がある政策を実行してほしい」と望む。

 また、男性も育児を担いやすくなるような働き方改革や、男性の育休取得に対する企業や社会の理解促進も必要だと感じている。

 今回の選挙では、経済的な理由で妊娠を諦めず、安心して子どもを産み育てられるような社会の実現に向けて、一票に思いを託す。「誰に投票するかを通じて、自分が国に求める政策の意思表示をしていると思う。各候補者の公約を見て、後押しする気持ちで投票したい」と力を込めた。

(嶋岡すみれ)