稲嶺盛吉さんが死去 琉球ガラス「現代の名工」 83歳 「泡ガラス」の技法確立


稲嶺盛吉さんが死去 琉球ガラス「現代の名工」 83歳 「泡ガラス」の技法確立 稲嶺盛吉さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 琉球ガラスの価値を高め、「泡ガラス」の技法を確立した現代の名工、稲嶺盛吉(いなみね・せいきち)さんが26日午後5時7分、がんのため読谷村座喜味の自宅で死去した。83歳。那覇市寄宮出身。告別式は28日に家族葬で執り行われた。喪主は長男盛一郎(せいいちろう)さん。

 戦後の物不足の時代、廃瓶を再利用した琉球ガラス制作の先駆者として活躍。ガラスに泡を多く入れた「泡ガラス」を創作し、琉球ガラスの芸術表現に大きな影響を与えた。色彩表現の可能性を追い求めようと、備長炭やカレー粉などを使用した作品も生み出した。

 1954年奥原硝子製造所入所。88年に宙吹きガラス工房「虹」を設立。89年から沖展会員。94年に厚労大臣より「現代の名工」に選ばれた。2001年に現代芸術家栄光賞。02年にストックホルム平和展平和貢献賞。15年に第51回琉球新報賞(文化・芸術功労)を受賞した。 (玉寄光太)