有料

日本は米中の「潤滑油」に 宮本雄二・元駐中国大使 <台湾有事回避シンポ>


社会
日本は米中の「潤滑油」に 宮本雄二・元駐中国大使 <台湾有事回避シンポ> 基調講演をする元駐中国大使の宮本雄二氏
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 9日に那覇市内で開かれた「台湾有事」の回避を目指すシンポジウム(「台湾有事」を起こさせない・沖縄対話プロジェクト主催)。主な登壇者の発言を紹介する。

 台湾有事を起こさない。日中米の外交における最大の任務だったはずだ。台湾有事を口にし、批判し合う人たちは「平和および友好のための協力が日中両国にとって唯一の選択」との2008年の日中共同声明を否定するのか。二度と戦争せず協力し合う。日中の先人たちの痛切な反省に基づく願い、不動の信念だ。平和のための協力関係をつくる以外の選択肢はない。

 日中関係は第一に政治・外交、第二に軍事・安保、第三に経済、第四に文化・国民交流の四つの柱からなる。軍事安保のロジックだけでは軍拡競争が始まり、戦争で終わる。それ以外で地域の安全を保つことを考えるべきだ。それが軍備管理、軍縮だ。

 対話を強化し、協力関係をつくるための基礎を再構築しないといけない。「一つの中国」の原則が否定されたと中国が判断しないかぎり台湾に軍事力を発動しない。先人たちが作り上げた「一つの中国」を巡る枠組みを堅持することだ。

 米中間のパイプが詰まっていれば、日本は中国との対話を強化し、米中の意思疎通を助ける潤滑油になるべきだ。外交活動を強化し、いかなる状況でも対話のチャンネルを太く、強くすることがなされるべきだ。