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対話と信頼で平和構築「台湾有事」回避シンポ


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対話と信頼で平和構築「台湾有事」回避シンポ 「台湾有事」を避けるための方策について議論が交わされたシンポジウム=9日、那覇市のタイムスホール(大城直也撮影)
この記事を書いた人 琉球新報社

 「台湾有事」の回避を目指すシンポジウム(「台湾有事」を起こさせない・沖縄対話プロジェクト主催)が9日、那覇市のタイムスホールで開かれた。3回目となる今回は、元駐中国大使や中国側の研究者3人、沖縄側登壇者4人が、有事の発生可能性や中国側の考え方について議論した。

 基調講演した宮本雄二元駐中国大使は、米中対立が激化する中で日本が中国との信頼関係を構築して米中の対話をとりもつ「潤滑油になるべきだ」と提言した。

 宮本氏は「平和のための協力が唯一の選択」などの表現が盛り込まれた2008年の日中共同声明を引き合いに「台湾有事」との言葉が言い立てられる現状を憂い、関係改善の必要性を強調した。上海市日本学会名誉会長の呉寄南氏は、日中関係改善のため、共同声明など4文書・合意を順守する必要性を指摘した。「日本、沖縄に侵攻する意図はなく、中国は脅威にならない」と述べ、中国脅威論を否定した。

 南西諸島への軍備強化について沖縄側登壇者の質問に答える形で「平和憲法があり、反戦運動に熱心な方もおり、軍事大国化は難しい」と冷静な見方を示した一方、「これから軍事化を進めれば話は変わる」と述べ、双方が刺激し合わない関係の構築を訴えた。

 沖縄側から登壇した高良沙哉沖縄大教授は「中台の武力衝突の可能性は、米国経由で語られる情報とは異なり、可能性が低いと知った。このような情報が伝わる関係を日中間で持つべきだ」と指摘した。

(知念征尚)