今回の承認指示の判断を巡って、県庁職員へ損害賠償が請求される事態を懸念する意見もある。過去には職員個人へ数千万円の請求が命じられたこともあった。ただ、関係者からは「今回のケースと異なるのでは」と疑問の声も上がる。
過去に、県が発注した識名トンネル新設工事を巡り、虚偽の契約をしたとして国は県に補助金の全額返還を要求。県は全額とその利息分約5億8千万円を返還した。
市民団体が、利息分の約7千万円について返済させるよう求める住民訴訟を提起し、那覇地裁は17年、知事に対し元県土木部長と元県南部土木事務所長に請求するよう命じた。
県側は控訴したが高裁でも敗訴。後に請求額を1人につき1千万円に減額する和解案が県議会で可決された。
ある県職員は「識名トンネルの例もあるので、最高裁判決に従わないことで違法な手続きと言われないか、不安はある」と話す。
一方、別の関係者は識名トンネルとは事情が違うと指摘する。「国が賠償を請求しない限り、県が公金を支出する機会はないはずだ」と話し「仮に国に賠償したとして、それを知事の指示に従った職員個人に支払えということが本当にあり得るのか、冷静に考えるべきだ」と話した。
(沖田有吾)