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【記者解説】国が地方自治を顧みず 辺野古代執行訴訟 沖縄県、正当性を主張へ 求められる実質審理


【記者解説】国が地方自治を顧みず 辺野古代執行訴訟 沖縄県、正当性を主張へ 求められる実質審理 米軍普天間飛行場の移設先として工事が進む沖縄県名護市辺野古の沿岸部。手前は大浦湾=2023年5月(共同通信)
この記事を書いた人 Avatar photo 金良 孝矢

 名護市辺野古の新基地建設で大浦湾側の軟弱地盤改良工事の設計変更申請を巡り、国土交通相が県知事の承認を代わりに行うための代執行訴訟を提起した。玉城デニー知事が、新基地建設に反対の民意を背景に期限までに承認しなかった翌日の提訴。国が沖縄の民意や地方自治を顧みず、強権的に埋め立て工事を進める姿勢を改めて示した。

 国交相提出の訴状は現時点で明らかになっていないが、県が承認しないことに公益性がないことなどを主張する見通しだ。地方自治法245条の8では、代執行手続きの要件として(1)法令違反や管理執行に怠りがあること(2)代執行以外で是正を図れないこと(3)放置すれば著しく公益を害することが明らかなこと―と定めている。この3要件が当てはまるかが、主な争点になりそうだ。

 県は国の訴えに対し、軟弱地盤の調査などが不十分で不承認とした正当性や、その裁量権が県にあることなどを主張するとみられる。

 福岡高裁那覇支部は、県と国にとっての公益性などをどう判断するのか。裁判所は辺野古を巡る一連の訴訟で、県の訴えを十分に聞き入れず、厳しい司法判断を下すなどしてきた。代執行訴訟は速やかな審理が求められているが、高裁那覇支部には議論となっている問題の中身を十分に審理した上での判断が求められる。

(金良孝矢)