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【深掘り】米軍の無人機「MQ9」配備、こんなに差? 沖縄には1カ月前、鹿屋は10カ月前に通告、期間の「協定」も 嘉手納基地へ


【深掘り】米軍の無人機「MQ9」配備、こんなに差? 沖縄には1カ月前、鹿屋は10カ月前に通告、期間の「協定」も 嘉手納基地へ 米軍の無人偵察機「MQ9」=2022年11月、鹿児島県鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)に昨年11月から暫定配備されている米空軍の無人偵察機「MQ9」が米軍嘉手納基地に配備される。防衛省は暫定配備地の鹿屋市とは時間をかけて調整し、締結協定の期限1年を厳守する予定だ。一方、嘉手納への本格配備では1カ月前の地元への通告で済ませる構えで、対応の差が際立っている。

 政府関係者によると、MQ9は当初から沖縄県内への配備が念頭にあった。一時的な展開で国民の反応を見極めつつ、海自の基地に配備して無人機運用のノウハウを共有したことを示唆した。

 一方、MQ9の航続距離は約8500キロ、滞空時間は約30時間で、鹿屋を拠点にしても台湾周辺で活動可能だ。実際に1年間運用してきた。防衛省関係者は「嘉手納を拠点にすればより長く活動できる」と強調するが、負担を増してまで嘉手納に配備する必然性は説明されていない。

 鹿屋航空基地では遅くとも本格展開の約10カ月前には計画が地元自治体に伝えられていた。一方、嘉手納基地への配備計画が地元自治体に伝えられたのは約1カ月前。當山宏嘉手納町長は「基地に関する事案はできるだけ周辺住民に対して早めの情報提供が必要だ。(防衛省は)そうした提供が必要だったのではないか」と苦言を呈した。

 鹿屋展開で防衛省は事前に住民説明会やデモ飛行、騒音測定などを重ね、慎重に進めてきた。鹿屋市との協定で展開期間を延長しないことや騒音対策、速やかな情報提供などを約束した。一方、嘉手納基地への配備に関しては住民説明会は開催せず、周辺自治体と期限や対策を決める協定も結ばない考えだ。

 中西茂鹿屋市長はMQ9が嘉手納へ移る知らせを受け「延長を心配する声もあった。協定が履行されるということで市民の不安も少し払しょくされる」とコメントした。

 MQ9は8月末に基地へ着陸する際、オーバーランし、地上施設に接触する事故を起こしたばかり。過去には国外で墜落事故もあった。

 県幹部は「嘉手納基地に配備されている機体が単純に増えるだけなら負担は増える。沖縄の基地負担軽減はできない。なぜ今配備されている鹿屋ではだめか。政府が言ってきた『沖縄の基地負担軽減』との整合性はどうなるのか」と憤った。

 (明真南斗、知念征尚、石井恵理菜、新垣若菜)