米軍嘉手納基地への配備が始まった無人偵察機MQ9について、県の溜政仁知事公室長は17日、嘉手納町の沖縄防衛局を訪ね、配備計画を見直すよう強く要請した。溜氏は「地元に対する事前の十分な説明が行われないまま、基地負担軽減と逆行する、新たな装備・部隊の増強を進めようとするものだ」と訴えた。
MQ9は「1年限り」の措置で鹿児島県の海上自衛隊鹿屋航空基地に一時展開されていたが、嘉手納基地に移駐した。嘉手納への配備は無期限で、常駐化する見通し。嘉手納には8機が配備される計画で、13日に1機が到着、16日には運用部隊が設立された。
溜氏は「基地負担の軽減が進まないまま、期間を定めずに配備されることは承服できない」とした。
対応した防衛局の森広芳光企画部長は、南西地域へ向かうには鹿屋よりも沖縄からの方がより効率的な運用が可能として「南西地域周辺の海空域での情報収集の強化は沖縄を含む地域の安全に重要な役割を果たすと認識している。嘉手納への展開は理解をしてほしい」と求めた。
溜氏は、鹿屋に展開される前には住民説明会など時間をかけているのに対して、嘉手納への展開については地元への説明が直前となったことなど対応の違いについてもただした。森広氏は「住民説明会は現時点で行う予定はないが、関係自治体と緊密に連携し、丁寧な説明と適切な情報提供をしていきたい」と繰り返した。
MQ9は今年8月、鹿屋航空基地で滑走路をオーバーランし、地上施設に接触した。海外では2016年にシリアとアフガニスタンで、22年にはルーマニアの空軍基地近くで墜落している。森広氏は、複数の飛行制御システムを持ち、仮に一つのシステムが停止しても残りのシステムで飛行を継続できることなどを説明し「米側には引き続き安全面に最大限配慮するよう求めていく」とした。溜氏は「安全対策が取られていても、現実に事故は起きている。安全性についてまだ疑念が払拭できない」と指摘した。
(沖田有吾)