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【動画】負傷隊員を後方へ輸送 空自那覇基地で衛生訓練を公開


【動画】負傷隊員を後方へ輸送 空自那覇基地で衛生訓練を公開 自衛隊統合訓練(JX)の一環で、県内で出た負傷隊員を担架に乗せ、C2輸送機で後送する訓練を実施する隊員ら=19日、那覇市の航空自衛隊那覇基地
この記事を書いた人 Avatar photo 梅田 正覚

 10日から県内などで始まっている自衛隊最大規模の実動演習「自衛隊統合演習(JX)」の一環として、航空自衛隊那覇基地で19日、戦闘で負傷した隊員を輸送機で前線から後方へ輸送する衛生訓練が実施された。訓練は、負傷した隊員が基地内の自衛隊那覇病院から滑走路脇の消防車両施設に設けられた患者一時的待機所(ERPSS=アーパス)に運び込まれたところから公開された。その後、担架でC2輸送機に運ばれ、空自入間基地(埼玉県)へ輸送された。県内でアーパスが設置される衛生訓練の実施は初めて。

 自衛隊によると、アーパスは米軍由来の概念で、これまでの自衛隊には概念も用語も存在していなかったという。輸送されたのは、戦傷の程度が輸送に耐えられる中等未満の陸上自衛隊員。県内の医療資源を窮迫させないための措置という。

 アーパスでは酸素マスクを装着したり、包帯や三角巾を巻いたりした戦傷隊員らが担架に乗せられていた。それぞれの体には氏名や生年月日、所属が記載されたテープが貼られた。陸海空の衛生隊員が戦傷隊員の状況をチェックしており、肩から小銃を下げた隊員が担架を運ぶ姿も見られた。

 JXは20日までの日程で九州などでも実施されている。今回公開された衛生訓練の一環で、戦死した隊員の遺体を取り扱う訓練を県内で実施することが明らかになっている。だが防衛省・自衛隊は遺体取り扱い訓練の項目そのものを公表しておらず、この日の衛生訓練も一部は非公開だった。空自那覇基地では15日も攻撃などによって滑走路が破損した事態を想定し、コンクリートで埋め戻す訓練も実施していた。

 JXには自衛隊員約3万800人が参加。前回の米軍の参加は約5800人だったが、約1万人に増えた。

(梅田正覚)