【中部】米軍嘉手納基地に配備されている米空軍の武器搭載可能な無人機MQ9について、同基地への配備決定前に、日米間で別の自衛隊基地・米軍基地などへの配備についても検討していたことが5日、分かった。検討対象となった基地名などは明らかにしていない。「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)のMQ9の質問書に対する沖縄防衛局からの回答文書で明らかになった。
三連協は11月9日に回答文書を得ており、同30日に各市町のホームページで公表した。
嘉手納基地以外で配備検討対象となった基地名、当該基地の評価については「米側との関係もあり、また、個々の基地の能力等が明らかになるおそれがあるため、お答えできない」とした。
嘉手納基地に配備される機体は8機だが、今後の運用で機体を増やす可能性については「機体のメンテナンス等のため、一時的に数機程度増加することはあり得る」との見方を示した。
自衛隊による偵察活動では十分ではないのか、との質問には、日米が情報収集した情報を共同で分析する組織を横田基地に設置したことなどを挙げた。その上で、海上自衛隊鹿屋航空基地での1年の運用実績を踏まえると「南西地域周辺海空域等での情報収集ニーズに対応する必要性が高い」とした。
鹿屋での運用実績に関する質問には、回答しなかった。
過去の海外の事故例としては、全てを網羅的に把握しているわけではないとしつつ、2018年6月から22年7月の間、「墜落」4件、「滑走路の逸脱」2件、「滑走路の手前で地面に衝突し炎上」1件の計7件を挙げた。他にも海外では、16年にシリアとアフガニスタンでMQ9の墜落事故が発生している。事故・事案での死傷者はこれまで出ていない。
三連協会長の桑江朝千夫沖縄市長は「三連協として、MQ9の配備に対する対応を協議しているところだ」と述べた。
(福田修平)