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米軍、オスプレイの稼働率向上を計画 「ナセル」改良、整備効率化で 


米軍、オスプレイの稼働率向上を計画 「ナセル」改良、整備効率化で  緊急着陸したMV22オスプレイのエンジンナセルを点検整備する米兵ら=2017年、新石垣島空港
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイのエンジンを収容している両翼端の円筒部分に当たる「ナセル」について、米軍が改良を進めていることが12日までに分かった。複雑なナセルの整備効率化により、稼働率の向上を計画する。米軍普天間飛行場所属MV22オスプレイが名護市安部沿岸部に墜落した事故から13日で7年。鹿児島県・屋久島沖でのCV22オスプレイ墜落で全機が運用停止する中、さらに稼働を増やす計画を打ち出した。

 空軍のCV22の改良が先行しており、現地時間7日に米議会上下両院が合意した2024年会計度の国防権限法案では海兵隊のMV22の少なくとも24機を改良する計画を盛り込んだ。

 海軍航空システム司令部によると、ナセルはオスプレイの動力、推進力に関する装置が収容され、さまざまな配線・配管が複雑に配置されている。オスプレイ整備の約6割がナセルに関連しているといい、ナセルの改良で整備時間を短縮し、稼働率向上を狙う。

 オスプレイを生産するベル社によると、海軍航空システム司令部は20年12月にベル社に対し、CV22のナセル改良を完了するための8100万ドルの契約を締結した。ベル社は25年までに全てのCV22の改修を完了する予定だと発表している。

 海兵隊のMV22もCV22と同じナセル構造だという。今回の国防権限法案でMV22の改良を24機以上、進めることを求めた。改良する機体数を減らす場合は必要性を議会に証明する必要があるとしている。

 11月29日に屋久島沖で発生したCV22の墜落について、原因は明らかになっていないが、エンジンナセル付近から出火していたとの目撃情報がある。米軍は人的要因ではなく、機材の不具合があった可能性があるとして全世界でオスプレイの運用を止めている。

 改良計画は今回の墜落事故を受けて実施されるものではなく、事故防止につながるかは不明。

(明真南斗、知念征尚)