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北朝鮮 黄海に200発砲撃 南北境界 住民避難、韓国も対抗


北朝鮮 黄海に200発砲撃 南北境界 住民避難、韓国も対抗 韓国・延坪島、白翎島、北朝鮮、北方限界線(NLL)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ソウル共同=長尾一史】韓国軍合同参謀本部は5日、北朝鮮が同日午前9~11時(日本時間同)ごろ、黄海上の韓国領、白翎島と延坪島の北方で200発以上の砲撃を行ったと明らかにした。韓国が境界線と位置付ける北方限界線(NLL)の北側海域に着弾し、韓国側への被害はない。韓国軍は挑発行為だと非難し、対抗措置として同日午後3時から海上への砲撃訓練を実施した。住民らには島内の退避所への移動が指示され、緊張が高まった。
 韓国軍などによると、北朝鮮側の砲弾が落下したのは南北が2018年の軍事合意で砲撃を禁じた緩衝区域。緩衝区域への着弾は22年12月の日本海側での砲撃以来で、合意以降では16回目となった。韓国の申源湜(シンウォンシク)国防相は「朝鮮半島の平和を脅かし、緊張を高める挑発行為だ」と批判した。
 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記は昨年末の党中央委員会拡大総会で、韓国とは「敵対国、交戦国の関係」だと強調。韓国の情報機関は金氏が「年初、韓国に大きな波紋を起こさせる方策」を指示したとの情報があるとして、軍事的示威に警戒していた。
 韓国軍の訓練は海兵隊が両島に配備した部隊が自走砲や戦車を動員し、NLLの南側海域に仮想の標的を設定して実施。北朝鮮による砲撃の倍の規模といい、約400発発射したもようだ。訓練中、北朝鮮側に特異な動向はなかった。
 砲撃があった付近の離島を管轄する仁川市によると、島民への退避指示は昨年5月に北朝鮮が軍事偵察衛星打ち上げに失敗した際、白翎島など一部に出されて以来。延坪島では10年11月に北朝鮮の砲撃を受け、民間人や兵士計4人が死亡した。