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【深掘り】県、毎月の「例外」に懸念 米軍パラ降下訓練強行 「伊江島の滑走路」理由は初 沖縄


【深掘り】県、毎月の「例外」に懸念 米軍パラ降下訓練強行 「伊江島の滑走路」理由は初 沖縄 MC130J特殊作戦機から降下する米兵=19日午後2時35分、嘉手納町の米軍嘉手納基地上空(大城直也撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

嘉手納基地での米軍のパラシュート訓練について日本政府はSACO合意の「例外的な場合」に当たるとして容認する姿勢を示している。かつては読谷補助飛行場で実施されていた訓練自体の廃止を訴えてきた県側は、「なし崩し的に行われかねない」(玉城デニー知事)と、相次ぐ「例外」に懸念を強めている。

 米軍は伊江島の滑走路は修繕が必要で使用できないと説明。従来、伊江島以外での実施は悪天候などを主な理由としており、防衛省関係者は「滑走路が原因で実施できないというパターンは初めて」だと振り返った。
 政府関係者によると、米軍は12月の嘉手納実施の際、日本側に伊江島の滑走路の不具合を伝えた。防衛省は年末に職員を伊江島に派遣したが、訓練の実施後だった。

 訓練のあった19日午後、嘉手納町議会の基地対策特別委メンバーと仲村渠兼栄議長は、町役場屋上で降下を確認。すぐさま委員会を開催し、26日に臨時会を開き、抗議する意見書・決議を提出することを決めた。特別委の當山均委員長は「早い段階で伊江島に派遣するべきだった。対応が遅すぎる」と不信感を募らせる。「地元では、米軍が今後『例外』を盾に降下訓練のみならず、やりたい放題に運用するのではとの懸念も広がっている」と指摘した。

 米軍は改修工事を検討していることを日本側に伝えている。だが、費用負担や工法、工期は検討中としている。
 伊江島への移転経費は日本側が負担することになっている。今回の滑走路補修について防衛省担当者は「(どちらの負担かは)工事の規模などによる。日米間で話し合って最短でできるようにしなければならない」と、日本側の支出が生じる可能性を否定しなかった。
 木原稔防衛相も19日の会見で「伊江島補助飛行場の滑走路が早期に使用再開されるよう、引き続き米側と緊密に連携し、可能な限りの支援や協力をする」と強調した。

 伊江島の滑走路の補修状況が問題となっていることについて県関係者の一人は「軍事施設であり、定期的な補修が行われていれば防げたのではないか」と語り、経緯を疑問視した。伊江島の滑走路使用は、MC130が訓練後の兵士を回収するためだとし「帰りは船でも、ヘリでもできるはず。伊江島で実施することを前提に考えるべきだ」とくぎを刺した。(知念征尚、明真南斗、石井恵理菜)