Q 芥川賞と直木賞が決まったね。沖縄県出身者が受賞したことはあるのかな。
A 芥川龍之介賞は芸術性を重視した純文学作品で、雑誌に掲載された中・短編から選ばれます。直木三十五賞はエンターテインメント作品の単行本から選考されていますね。どちらも日本文学振興会が主催している賞で、選考会は1月と7月にあります。
沖縄県出身者は過去に4人が芥川賞を受賞しています。1967年に大城立裕さんが「カクテル・パーティー」、1972年に東峰夫さんが「オキナワの少年」で、1996年に又吉栄喜さんが「豚の報い」で、1997年に目取真俊さんが「水滴」で受賞しました。直木賞の受賞者は出ていません。
大城さんが受賞したのは、67年7月の第57回芥川賞です。当時の沖縄は米施政下にあり、日本への復帰運動が高まっていました。
その2年前の65年には佐藤栄作首相が戦後初めて現役首相として来沖。67年11月には日米首脳会談で両3年以内に沖縄の返還時期を決めることで合意しました。
そのような時期の受賞決定について琉球新報は1面トップの記事で「『けっして沖縄の政治的現状を勘案したものではなく、あくまで優れた作品として選んだものである』と発表された」と報じました。「沖縄は文学不毛の地ではない」との見出しもあります。初の受賞は沖縄の人たちを勇気づけ、自信を持たせるものとして受け止められました。