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介護職員2.5%賃上げ 24年度 訪問は基本報酬下げ


介護職員2.5%賃上げ 24年度 訪問は基本報酬下げ 介護報酬の主な基本料金の変化
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 厚生労働省は22日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で、介護事業所に支払う介護報酬の2024年度からの改定方針を決めた。人材確保のため他産業より低い職員の賃金底上げに重点配分し、24年度2・5%、25年度2・0%のベースアップ(ベア)が可能な措置を行う。物価高騰を受け、特別養護老人ホーム(特養)などは報酬のうち基本料に当たる部分を上げる一方で、訪問介護サービスは経営が安定しているとし、基本料部分を引き下げる。
 介護報酬全体は1・59%のプラス改定とし、うち0・98%を賃上げに充てる。介護の人手不足は深刻化し、国の推計では高齢者数がほぼピークとなる40年に医療・介護分野で働く人が約100万人足りない。報酬引き上げは事業所の経営安定につながるが、保険料や利用者負担は増える。
 ベア実現に向け、職員の処遇を改善した事業所が受け取れる報酬への加算を上積みする。24~25年度の賃上げ状況を勘案し、26年度の加算措置を検討する。
 特養や老人保健施設などの基本料は上げる。訪問介護など一部サービスは、厚労省調査で利益率が良かったため報酬を減らす。これに対し22日の分科会では「在宅介護が破綻する」といった懸念も相次いだ。
 24年度は、医療機関に支払われる診療報酬との同時改定となり、医療と介護の連携強化を盛り込んだ。施設に入所する高齢者の容体が急変した場合、診療可能な医療機関を事前に確保するよう施設側に義務付ける。災害発生など非常時の事業継続計画(BCP)を策定していない事業所は、基本報酬を減算する。
 認知症対策や、家族の世話をする子ども「ヤングケアラー」への対応も明記した。