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震災・デフレ「正念場」 施政 演説原案 首相、信頼回復へ決意 復興本部新設を表明


震災・デフレ「正念場」 施政 演説原案 首相、信頼回復へ決意 復興本部新設を表明 施政演説原案ポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田文雄首相が30日の通常国会で行う施政方針演説の原案が判明した。能登半島地震、デフレ完全脱却、国際情勢への対応を挙げ「内外ともに正念場を迎えている」と位置付けた。物価高を上回る所得の実現を強調する。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、政治資金の透明化を図って政治の信頼を回復する決意を示す。震災対応で被災者支援策を着実に実行するため、自らをトップとする「能登復興本部」を新設すると表明する。複数の政府関係者が24日明らかにした。
 「経済、経済、経済」と連呼した昨年10月の所信表明演説に触れ「思いは変わっていない。岸田政権の最大の使命だ」と言及。デフレ完全脱却は「高齢化による国民負担率上昇の抑制につながり、財政健全化にも寄与する」と意義を唱える。
 医療、福祉分野や公共サービス、中小企業、パート・非正規労働者の賃上げを実現するとした。建設業界で賃上げ原資を確保するため、国が適正な労務費の目安を示し工事の下請け契約が行われるよう促す法案や、トラック運転手の賃上げに向け、適正な運賃を導入させる関連法案を提出すると説明する。
 裏金事件を巡り、自民派閥のパーティー禁止や外部監査導入、銀行振り込みの徹底化により、透明化向上を訴える方向だ。各党と協議し、政治資金規正法改正に取り組む姿勢も示すとみられる。
 能登半島地震対応では、2024年度予算案の予備費を1兆円に倍増した対応に触れ「『できることは全てやる』との考え方で取り組む」と掲げる。「被災者の帰還と能登再生に責任を持って取り組む」と明言する。
 外交では、調整中の国賓待遇での訪米を通じて日米関係を深化させ、経済安全保障分野での連携も拡大するとした。