有料

国の指示権拡充 「不当介入恐れ」 自治法改正、日弁連反対


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日弁連は24日、自治体への国の指示権拡充を柱とする地方自治法改正に反対する意見書を公表した。国と自治体の「対等・協力」関係を変え、地方分権を大きく後退させると批判。自治体の事務に対し「国の不当な介入を誘発する恐れが高い」としている。岸田文雄首相ら宛てに送付した。
 地方自治法改正を巡っては、全国知事会が指示は特例、最小限とするよう申し入れている。政府は26日召集の通常国会に改正案を提出する方針で、論戦の焦点の一つとなりそうだ。
 国と自治体の関係は2000年施行の改正地方自治法で「上下・主従」から「対等・協力」に改められた。日弁連は意見書で指示権拡充は「地方分権改革の貴重な成果をないがしろにする」と問題視。国の関与は必要最小限にするとした原則にも反すると訴えた。
 法改正は新型コロナウイルス禍が教訓で、感染症危機や大災害などの非常時に、個別法の規定がなくても国が自治体に指示できるようにする。
 意見書は「コロナ禍で問題があったというのは根拠が希薄」と指摘。災害対応についても、16年の熊本地震で、駐車場などでの青空避難の解消を求めた政府に対し、自治体が余震多発を理由に反発し、後に本震が起きた事例を挙げ「自治体の方が多くの情報を把握しており、国の判断に従うよう義務付けるのは誤りだ」としている。