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安倍派離党に慎重姿勢 自民裏金 首相、引責辞任否定


安倍派離党に慎重姿勢 自民裏金 首相、引責辞任否定 安倍派の主要幹部
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 岸田文雄首相は25日、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、安倍派(清和政策研究会)幹部に対する離党勧告などの処分について慎重に判断する姿勢を示した。官邸で記者団に「関係者に明確な説明責任を促すのが第一だ」とし、党としてできる限り事実関係の把握に努めると述べた。裏金事件の責任を取って自ら辞任する考えを問われ「責任を果たしていきたい」と否定した。
 安倍派では多数の議員が裏金を受領したとされ、執行部は党役職停止処分を検討した。政治刷新本部会合でも、何らかの処分が必要だとの意見が出た経緯がある。
 茂木敏充幹事長は共同通信の取材に「安倍派幹部が自ら判断する問題だと理解している。私から離党を求めたことはない」と語った。森山裕総務会長は記者会見で「既に党の役職や閣僚を辞職し、責任を明確にしている」とし、新たな処分に消極的な認識を語った。松野博一前官房長官や萩生田光一前政調会長は昨年12月に交代している。
 刷新本部がまとめた中間報告は「関係者のあるべき政治責任について結論を得ていく」と記述した。党則は厳しい順に、除名、離党勧告、党員資格停止、党役職停止などの処分を定めている。
 安倍派の塩谷立座長や、高木毅事務総長ら実力者「5人組」はこれまでの記者会見などで離党や議員辞職を否定している。ただ、党内には突き放した見方もある。安倍派の中堅若手議員約30人は25日に国会内で集まり、「情報が一切共有されない」など派閥幹部に対する不満を訴えた。

党総務会 中間報告了承
 自民党は25日、臨時総務会を党本部で開き、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた党改革の中間報告を了承した。正式決定を受けて、岸田文雄首相は総務会で「私自身先頭に立ち、取りまとめた内容を実行する努力を続けていく。政治改革に終わりはない」と述べた。会計責任者が逮捕、起訴された場合の国会議員の党処分は盛り込んだものの、刑事責任を負わせる連座制には触れなかった。
 中間報告は(1)派閥から「金と人事」を切り離し「政策集団」として存続容認(2)政策集団による政治資金パーティー禁止(3)閣僚人事などの推薦・働きかけを禁じ、ガバナンス・コード(統治原則)と呼ばれる党の行動指針に書き込む(4)所属議員に配る活動資金「もち代」「氷代」廃止―などを盛り込んだ。
 規正法改正については「必要な法整備を速やかに行う」と書き込んだものの、具体的な内容については明記しなかった。

森山派解散へ
 自民党森山派(近未来政治研究会)は25日、国会内で会合を開き、派閥を解散すると決めた。異論は出ず、事務所は閉鎖する。
 森山派は所属議員8人の党内最少派閥。1998年に山崎拓元副総裁が創設し、石原伸晃元幹事長が会長を継承。2021年12月に森山派となった。

茂木派を退会へ 小渕優子氏
 自民党の小渕優子選対委員長は25日、所属する茂木派(平成研究会)を退会する意向を表明した。政治資金パーティー裏金事件で党は危機的状況だとし、党再生に向け「無派閥の立場で一層汗をかいていきたい」と記者団に説明した。同派会長の茂木敏充幹事長に同様の考えを伝え、了承された。26日にも退会届を提出する。

末松氏ら辞任 北村氏、宮本氏も
 参院は25日、末松信介予算委員長ら3人が委員長を辞任したと発表した。3人が所属する自民党安倍派の政治資金パーティー裏金事件を受けた対応。辞任したのは他に北村経夫外交防衛委員長と宮本周司財政金融委員長。
 政治資金規正法違反の罪で在宅起訴された参院議員の大野泰正被告は19日に内閣委員長を辞任した。26日の参院本会議で新委員長が選ばれる。