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派閥抜き人事へ機能強化 自民、休眠委員会活用案


派閥抜き人事へ機能強化 自民、休眠委員会活用案 自民党の新たな人事選定のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田文雄首相(自民党総裁)は、内閣や党役員人事の際に派閥の影響力を排除するため、党機能を強化する検討に入った。派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた党改革の中間報告で人事選考時の派閥推薦を禁止したことを踏まえた対応。休眠状態にある党の「人事委員会」を活用する案が有力だ。党執行部が人事の主導権を握りたい考え。関係者が26日、明らかにした。
 首相が本部長を務める党政治刷新本部が策定した中間報告では、政策集団として派閥存続を容認した一方、資金とポストの配分という派閥機能からは完全に決別すると明記した。「今後は党の機能・ガバナンスを強化する必要がある」として、新たな方策の検討を進める方針を示していた。
 これまでは閣僚人事などの際、派閥が所属議員の要望を吸い上げ、首相や党執行部に派としての意向を「推薦名簿」のような形で伝達。首相らは主に推薦された議員の中から調整するのが慣例だった。昨年9月の内閣改造では、閣僚全19人のうち、党内最大派閥・安倍派と第2派閥の麻生派が4人で最多。第3派閥の茂木派は3人、岸田、二階各派が2人で、派閥の勢力に応じた配分となっていた。
 自民は村山富市連立内閣で政権復帰後の1995年、人事で派閥が全面に出ていたとの反省から党則を改正し、人事委員会を新設した。目的に「人事の公正と適正を期し、党運営の活性化を図る」と定めたが、近年は活動実態がなかった。刷新本部で中間報告が了承された23日、首相は「政策集団といえども今後、人事への関与を一切認めない。違反行為があれば解散してもらうことになる」と記者団に強調した。