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マイナ保険証に地方異論 全国110議会が意見書 漏えい懸念「延期を」


マイナ保険証に地方異論 全国110議会が意見書 漏えい懸念「延期を」 保険証に関する意見書を可決した地方議会の都道府県別件数一覧
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府が今年12月に現行の健康保険証を廃止し、その機能をマイナンバーカードに持たせて一本化する「マイナ保険証」について、少なくとも全国27都道府県の110議会が対策を求める意見書を可決したことが27日、受け取った参院事務局などへの取材で分かった。個人情報漏えいの恐れがあるなどとして、大多数が現行保険証の廃止延期や存続を要請。国政与党の会派が積極関与するケースもあり、トラブルが相次ぐマイナンバー政策の性急な実施に、地方から政府に異論が相次いだ格好だ。
 県内は中城、北谷、大宜味の3町村議会が可決している。
 意見書は、昨年3月から今年1月4日までに首相や衆参両院議長らに宛てて提出された。各議会は、次々と明るみとなるトラブルに危機感を募らせた住民や医療関係者らの訴えなどを踏まえ、政府が目指す廃止スケジュールの再考などを求めた。参院事務局によると、110議会の内訳は県議会1、市議会34、町村議会75。このうち長野県池田町と京都府精華町は、それぞれ意見書を2回可決していた。
 岩手県議会は昨年7月、高齢者施設でのマイナ保険証の管理が困難であることなどから、一本化の中止や見直しを求める意見書を可決。「国民皆保険制度の根幹を破壊する重大問題に発展しかねない」と危惧した。
 昨年5月以降、各地でひも付けミスが発覚。意見書の大半は昨年9月以降、参院に送付された。広島県庄原市議会は、複数の行政機関が持つ情報を一括してひも付ける仕組み自体を「個人情報を守る観点からも大きな問題がある」と指摘。
 埼玉県八潮市議会は、一本化でトラブルはさらに続出するとし「国民の不安がさらに高まることは火を見るより明らか」と強調した。
 一方、千葉県野田市議会は意見書を否決したが、審議段階では「安心してマイナ保険証を利用できる環境を実現する努力こそが肝要だ」と発言する市議もいた。