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税金原資の辺野古工事 求められる「丁寧な説明」


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 岸田文雄首相は30日の施政方針演説で、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について「工事を進める」と改めて明言した。知事に代わって国土交通相が設計変更申請の承認を代執行した後、初の国会演説だったが、県民に配慮する文言は盛り込まれなかった。
 通常国会は26日に開会した。施政方針演説は、29日の初日に衆参両院で行われるのが通例だが、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件を受けて繰り延べされる異例の幕開けとなった。
 危機感の表れか「能登半島地震」「経済政策」に続き、岸田首相は自身が本部長を務める「政治刷新本部」での政治資金を巡る問題への取り組みに触れた。「政治資金の透明性」「コンプライアンスの徹底」を進めるとしているが「政治とカネ」の問題は今国会で議論の中心となりそうだ。
 一方、岸田首相が推進の方針を示している辺野古新基地建設工事では、総事業費9300億円が投じられる。そのほとんどが、われわれ国民の税金が原資だ。
 県内で反対の声が大きい未曾有の国策工事の使途は本当に適切なのか。
 史上初の代執行に踏み切ってまで工事を強行する政府には、県民の疑念に答える責任がある。
 辺野古を巡り、官房長官会見などでの政府答弁では「丁寧な説明」が定型句のように繰り返される。「政治とカネ」の問題と同様に、岸田首相には、辺野古新基地建設工事について、カネの流れも含めた「丁寧な説明」が求められる。 (安里洋輔)