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1千万円超え不記載20人/全容不明、増える可能性も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で安倍派、二階派が政治資金収支報告書を訂正して以降、所属議員らによる訂正が相次いでいる。東京地検の起訴内容や各議員の記者会見、収支報告書の訂正を照合すると、2日現在、派閥からの還流など1千万円超の収入を記載していなかった議員らは20人に上る。不記載の全容を明らかにしていない議員も多く、今後増える可能性がある。
 政治資金規正法の捜査対象は時効にかからない2018年以降の5年間だが、収支報告書の公開は3年間のため、不記載が判明した期間は3~5年と幅がある。
 上位3人は東京地検特捜部に規正法違反(虚偽記入)の罪で立件された。トップは大野泰正参院議員の5154万円で、池田佳隆衆院議員4826万円、谷川弥一元衆院議員4355万円と続く。安倍派からの販売ノルマ超過分の還流を受けたのに、収入に記載していなかった。秘書が略式起訴された二階俊博元幹事長は3526万円。2千万円台は5人で、安倍派の実力者「5人組」の萩生田光一前政調会長や、橋本聖子元五輪相らが、5年分の受領額を記者会見などで明らかにした。
 1千万円台の受領者の中には、5人組の世耕弘成前参院幹事長、松野博一前官房長官、高木毅前国対委員長らや、元衆院議員で二階派だった長崎幸太郎山梨県知事も名前を連ねた。萩生田氏は1月22日の会見で「多大な政治不信を招いた」と陳謝したが、離党や議員辞職は否定。松野氏も同26日に「国会議員との会合費などに充てた。私的流用はない」と釈明した。
 実態解明のため立憲民主党など4野党は、自民党所属議員の全員を調査し、裏金受領議員リストを国会提出するように求めている。
 自民党は2日に安倍派、二階派議員の政治団体と訂正額の一覧を出したが、3年分にとどまっている。