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災害ごみ推計80万トン超/珠洲28万トン、平時の65年分


災害ごみ推計80万トン超/珠洲28万トン、平時の65年分 市町別の災害廃棄物推計など
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 家屋の倒壊などによって発生した能登半島地震の災害廃棄物が、石川県内で計約80万6千トンに上るとの推計を、名古屋大減災連携研究センターの平山修久准教授(災害環境工学)が3日までにまとめた。県全体で平時の約2年分、被害が大きかった同県珠洲市では平時の約65年分に上る。
 平山氏は「地元自治体だけでの対応は難しい。推計を支援体制や仮置き場の広さなどの検討に役立ててもらえれば。今後は公費による家屋解体の申請数など実測値の把握も重要だ」としている。
 各地で観測された震度の情報や、国勢調査と「住宅・土地統計調査」のデータから把握できる家屋の分布状況や建築年代の情報を利用して分析。珠洲市で木造家屋の約37%に当たる約2100棟が、県全体で約5100棟が全壊したと推計した。古い木造家屋の被害が大きいとみられる。津波や液状化による被害は考慮していないため、実際の発生量は推計を上回る可能性があるという。
 市町別の最多は珠洲市の約28万2千トン。次いで輪島市で約20万1千トン、能登町で約11万9千トン、志賀町で約8万2千トン、穴水町で約6万3千トンなどとなった。石川県によると、珠洲市で2021年度に排出された一般廃棄物は4360トン。28万2千トンは約65年分に当たる。輪島市などでも約13~22年分に相当した。
 災害廃棄物は仮置き場で分別収集後、焼却や分別、再生利用されるが、石川県内のごみ処理施設は地震の影響で使用できない所がある上、珠洲市、輪島市などの半島北部では主要な道路が被災し、運搬も容易ではない。平山氏は「海上輸送で広域処理するのも選択肢の一つだ」と話す。
 また、東日本大震災の災害廃棄物の81%が、熊本地震では78%が再生利用されたとして「今回もコンクリートがらを補修する道路の基盤にするなど、復旧復興の資材としての活用も検討する必要がある」と指摘した。

石川県珠洲市の仮置き場に運び込まれた災害ごみ=3日午前