有料

教団問題 政権さらに暗雲/文科相に推薦状 野党は「辞任を」


教団問題 政権さらに暗雲/文科相に推薦状 野党は「辞任を」 衆院予算委で答弁する盛山文科相(右端)=6日午前
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求を決断した盛山正仁文部科学相が、教団関連団体から選挙支援を受けた疑いが浮上した。自民党は所属議員への調査で、うみを出したはずだったが、岸田文雄首相を含め、旧統一教会との「蜜月」関係への疑念は拭えない。裏金事件に続き野党の攻勢を受けるのは必至で、政権運営に暗雲が垂れ込める。 (1面に関連)

写真付き
 「選挙支援をこちらからお願いした覚えは、ございません」。6日午前の衆院予算委員会。一部報道を受けた野党議員の質問に、盛山氏は、よどみない口調で反論した。ただ支援の存在自体は否定しなかった。
 報道は2021年の衆院選前に神戸市で関連団体会合に出席し推薦状を受け取ったとの内容で、写真付き。盛山氏は「写真があるのなら、頂戴したと思う」と説明した。
 教団と自民党の関係は、安倍晋三元首相銃撃事件を契機に問題化。22年9月公表の党調査では、所属国会議員180人に教団側との接点が確認された。盛山氏は「関連団体の会合に出席し、あいさつ」した議員としてカウントされた。
 ただ後から新たな接点が明らかになり、弁解に追われる事態が相次ぐ。岸田首相もその一人で、党政調会長だった19年に教団の友好団体トップらと党本部で面会していたと昨年12月に写真付きで報じられた。「元米下院議長と面会したが、同席者は承知していない」との説明を続けている。

間が悪い
 党調査で接点があった盛山氏は昨年9月に文科相に就任。同省職員の中には「なぜ接点のある人にしたのか」と、いぶかしむ見方もあった。ただ記者会見や国会で教団関連の質問を受けると「現在、関係は全くない」と明言し、解散請求に向けた調査の公平性は揺るがないと強調してきた。
 昨年10月に東京地裁へ解散を請求した際は「旧統一教会は多くの方々を不安に陥れ、生活の平穏を害した」と指弾。今回の報道後、予算委では「(これまでの)私の行動を見ていただければ」と自負をのぞかせた。
 「大臣はやるべきことをしている」との擁護の声が省内では主流。一方、今月下旬に地裁が教団側と文科省側の双方から意見を聴く「審問」が初めて予定され、裁判が本格化する直前だけに、ある幹部は「間が悪い。手続きが公正だったのかどうか疑念を持たれても仕方がない」と表情を曇らせる。

追い打ち
 岸田首相は旧統一教会問題の再燃を警戒する。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で政権の体力がそがれる中、宗教行政を所管する文科相との新たな接点判明は、さらなる追い打ちになりかねないからだ。
 「選挙の際には多くの集会があるため、全ての詳細を把握しているわけではない」と隠蔽(いんぺい)を否定する盛山氏。立憲民主党幹部は「21年の話なのに覚えていないはずはない。辞任まで徹底的に追及する」と息巻いた。