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除染、国負担4000億円超/福島第1、東電とは別枠で


除染、国負担4000億円超/福島第1、東電とは別枠で 福島第1原発事故の帰還困難区域
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 東京電力福島第1原発事故に伴う除染の国費負担が、2024年度までの累計で4千億円を超える見通しであることが6日、環境省などへの取材で分かった。除染費用は「汚染者負担」の原則に基づき、当事者の東電が負担するのが基本だが、別の枠組みで多額の税金が投入されている実情が判明した。
 福島県内外の除染は原則として国や市町村が実施し、かかったお金を東電に請求する仕組み。
 従来は除染の対象となっていなかった県内の帰還困難区域について、帰還を望む住民の意向に応えるため、安倍政権は「特定復興再生拠点区域」(復興拠点)を設け、除染やインフラ整備を全額負担すると17年に閣議決定。23年までに復興拠点の避難指示を解除したが、拠点外の除染も始まり、国費負担が膨らむ結果となっている。
 環境省によると、復興拠点の除染に22年度までに計2692億円を支出。同年度の繰り越し分と23年度予算の計542億円、24年度予算案の370億円を加え、計3604億円となる。拠点外の「特定帰還居住区域」は、23年度予算に52億円、24年度予算案に450億円を計上しており、合わせた総額は4106億円に上る。
 東電が払う除染費用は巨額のため、政府がいったん資金を援助し、東電株の売却益で回収する。福島県内の除染で出た廃棄物の中間貯蔵施設の費用2兆2千億円は国のエネルギー関係の財源から支出し、株売却益の余りを充てる計画だ。しかし東電の株価は低迷して売却益が出るめどが立たず、さらなる公的支援が必要となる懸念がある。