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能登地震 土砂災害281件 道路寸断、土石流の恐れも


能登地震 土砂災害281件 道路寸断、土石流の恐れも 能登半島の主な土砂災害発生箇所
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震による土砂災害が石川、新潟、富山3県で少なくとも計281件確認されたことが国土交通省のまとめ(7日午後1時現在)で分かった。水害を含め昨年1年間に全国で起きた土砂災害件数の約2割に当たる。道路が寸断され救援の遅れや集落孤立の一因となったほか、崩れた土砂が川の流れをせき止める「土砂ダム」が形成されたままの箇所もある。土石流など地震に続く二次被害や、復旧の妨げとなる懸念があり、国は緊急工事を進める。
 石川県は7日、珠洲(すず)市で死者が新たに1人増え、241人になったと明らかにした。
 国交省によると、2023年に全国で発生した土砂災害は台風や大雨を中心に1471件だった。過去の地震との比較では、16年の熊本地震(190件)、18年の北海道地震(227件)を上回った。
 土砂災害警戒区域内を中心に集計。県別では石川が250件、新潟が18件、富山が13件。土砂災害による住宅被害は全壊が45戸、半壊が12戸、一部損壊が13戸だった。震源に近い能登半島に被害が集中し、石川県穴水町や珠洲市では住宅が土砂崩れに巻き込まれ、複数の犠牲者が出た。
 インフラの被害も目立った。能登半島沿岸部を囲むように走る国道249号は、被害状況が明らかになり始めた1月5日時点で25区間が通行止めとなり、土砂災害によるものが目立った。
 自衛隊や緊急消防援助隊、災害派遣医療チーム(DMAT)は移動ルート制限で現地入りに時間がかかり、生存率が大きく下がる発生後72時間以内の救助作業の障壁となった。孤立集落には最大約3千人が取り残され、物資輸送にも遅れが出た。
 国交省幹部は「細長い半島はアクセス道路が少なく代替路を探すのが困難」と指摘。半島地域への支援措置を定めた半島振興法(議員立法)が25年3月に期限を迎えるため、災害対応強化を盛り込んだ上で延長する必要があるとの考えを示した。
 一方、石川県輪島市と能登町では、土砂ダムができている。せき止められた河川が雪解け水や大雨で増水すれば、付近の集落に被害が出る恐れがあり、国交省は仮の排水路を設置するなど、緊急工事に着手している。