土煙を巻き上げて崩れる家屋、車をのみ込む濁流―。能登半島地震で甚大な被害が出た石川県珠洲(すず)市で、社会福祉法人のデイサービス送迎車のドライブレコーダーが、地震発生の瞬間や津波の様子を生々しく捉えていた。「なんとか利用者さんの命だけは守りたかった」。運転していた職員が、間一髪で避難した状況を証言した。
映像を記録していたのは社会福祉法人「長寿会」の送迎車に搭載された前方、後方、車内を映す3台のカメラ。80~90代の利用者6人を乗せ、同市宝立町の路上に停車していた。時刻が元日の午後4時10分を示すと、ほどなく激しい横揺れが襲った。道路は波打ち、住宅や店舗は次々に倒壊。周囲は瞬く間に土煙に包まれ、転倒する歩行者の姿も。「なんじゃこれえ」「家が…電信柱が…」。悲鳴が上がる中、揺れは約1分続いた。利用者を降ろすため車外にいた職員稲川久美子さん(59)は「立っていられないほどだった」と話す。
「上にあがらにゃ。津波来るかもしれん」。車は使えないと判断した稲川さんはそう声をかけ、通りがかった避難者の力も借り、約7分後には利用者を連れて徒歩で高台を目指し始めた。
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車のむ濁流、崩れる家屋 能登地震 津波の瞬間映像に
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琉球新報朝刊
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