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外国人 長期就労に道 転籍可能 政府「育成就労」新設へ


外国人 長期就労に道 転籍可能 政府「育成就労」新設へ 「育成就労」の政府方針
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は9日、技能実習に代わる外国人労働者受け入れの新制度「育成就労」の方針を決定した。「特定技能」への移行を促す新制度で、より長期間就労できる道筋を整えた。同一の業務分野で職場を変更する「転籍」は最長2年間制限される。岸田文雄首相は関係閣僚会議で「わが国が外国人材から選ばれる国になるという観点に立ち作業を進めていく」と述べ、環境の整備に取り組むよう各大臣に指示。技能実習適正化法や入管難民法の改正案を3月にも国会に提出する。
 特定技能は最長5年働ける1号と、熟練技能を要し、家族の帯同が認められ事実上永住も可能な2号がある。政府は永住資格を得た外国人の増加も想定し、税金などを納付しない場合は資格を取り消せるよう検討を進める。小泉龍司法相は閣議後記者会見で「不適切な永住者を放置すると、社会全体が受け入れなくなる。(資格取り消しを検討することで)中長期的には、より多くの永住者を受け入れることにつながる」と強調した。
 外国人労働者の受け入れを巡っては、技能実習・特定技能両制度の見直しを検討する政府有識者会議が昨年11月、技能実習を廃止し「育成就労」を創設する最終報告をまとめた。技能実習では原則転籍が認められず、劣悪な環境から逃れようと失踪者も相次いだことから、原則1年超の就労で転籍を認め、必要な経過措置を検討するとした。ただ、地方から条件の良い都市部への労働力の流出が懸念され、自民党の部会は少なくとも2年間は転籍を制限できるよう要望していた。