有料

戦闘機輸出で首相批判 公明「国民の理解得てない」


戦闘機輸出で首相批判 公明「国民の理解得てない」 次期戦闘機の第三国輸出を巡る岸田首相と山口公明党代表の発言
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府が英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機を巡り、自民党と公明党の間に生じた溝が埋まらない。英伊と同様に第三国への輸出を可能にしたいと焦る自民に対し、公明は応じる気配を見せないためだ。岸田文雄首相の国会答弁を山口那津男代表が公然と批判する異例の事態に発展した。

 「望ましい安全保障環境創出のために重要な政策手段で、国益にかなう」。首相は5日の衆院予算委員会で、国際共同開発する防衛装備品の第三国輸出に理解を求めた。3月以降に戦闘機開発を巡る3カ国の協議が本格化するとして、2月末までに与党間の結論を得るよう重ねて呼びかけた。
 しかし、山口氏は6日の記者会見で、2022年に英伊との共同開発を決めた際は第三国輸出が前提でなかったとし「重要な政策変更だ。なぜ変更する必要があるのか、十分に議論が尽くされていない」と切り捨てた。
 技術の粋を集めた戦闘機の開発には莫大(ばくだい)な経費がかかる。政府は共同開発による資金の分担に加え、第三国への輸出を含め生産機数を増やせば、調達価格を抑えられ合理的だと説明する。
 これに対し「平和の党」を掲げる公明は、殺傷能力を持つ武器の輸出に国民の理解が得られていないと指摘。自公の協議は中断が続いている。
 1月末の自民国防部会などの会合では公明への反発が相次ぎ、連立解消を求める声も出た。首相答弁は公明の軟化を促すのが狙いだったが、公明関係者は「首相に『何としてもやる』という熱量がない。2月末はかなり厳しい」と冷ややかだ。
 政府は事態打開のため、国際紛争を助長しないよう輸出対象国を絞る案を検討。防衛省幹部らが公明側に説明を重ね、自公の政調会長も水面下で意見交換している。
 ただ、山口氏は「国民世論は第三国に輸出しないとの前提を支持している。変えたいと思っている人がどうするか、見守りたい」と突き放す。自民の国防族議員は「感情論だ。党首会談で首相から直接、山口氏を説得してもらうしかない」といら立ちを見せる。