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収支訂正「不明」だらけ/識者「民間ならあり得ない」


収支訂正「不明」だらけ/識者「民間ならあり得ない」 収支報告書訂正で「不明」や不自然な支出がある主な議員
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡る各国会議員による政治資金収支報告書の訂正で、派閥から高額の還流などを受けた議員に金額や日付を「不明」とする支出の計上があり、国会で野党の追及が強まっている。識者は「民間企業ならあり得ない」と指摘する。
 安倍派(清和政策研究会)の「5人組」と呼ばれる有力者の一人、萩生田光一前政調会長が代表を務める「自由民主党東京都第24選挙区支部」は、2020~22年分の収支報告書を訂正し、派閥からの寄付収入計1952万円を追加した。
 一方、支出は「政治活動費」として外遊とみられる海外での会食費や宿泊費などを追加したものの、他に不明の支出があると記載。いずれの年も収入と支出総額、繰越額も不明とする異例の訂正となっている。
 同じく5人組の一人、高木毅前国対委員長が代表を務める資金管理団体「21世紀政策研究会」は派閥からの寄付収入計865万円を計上した一方、「会合費」「お品代」「交通費」の項目で金額や日付が不明の支出を追記。萩生田氏と同様に多くの総額が不明となっている。
 不明とはされていないものの、不自然な支出も。二階俊博元幹事長の資金管理団体「新政経研究会」は、二階派(志帥会)からの寄付収入1768万円を計上する一方で、支出では「書籍代」として高額の計約3470万円を追加で計上している。
 裏金を巡る野党の追及が続く国会では、こうした収支報告書の訂正について「不明のオンパレードだ」「(二階氏は)一体何万冊を購入されたのか」と批判が相次ぐ。答弁に追われる岸田文雄首相は「数字が確定するまでの間、不明とすることはあり得る」と苦しい弁明を続けている。
 高千穂大の五野井郁夫教授(政治学)は「企業や事業主であれば、あり得ない会計処理だ。着服の疑いをかけられたり、責任を取って辞職してもおかしくない。厳しい追及をしない岸田首相や自民党の姿勢は、裏金を容認しているようにも映る」と指摘した。